第五回 地元の米と水、蔵付きの酵母 昔ながらの製法で醸し出す、 昔ながらの本物の地酒『春心』
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温泉街の粟津温泉は、金沢加賀百万石の雅やかな宴どころ。 20年ほど前まで、北森酒造と西出酒造の2つの地酒があり、ともに江戸時代と大正時代から続く老舗の酒蔵で、温泉に入った後の御料理には歴史ある酒蔵の深みある酒で一献傾けるのが地元常連様の楽しみでも有りました。 時代の変化により、清酒消費量が減りビールや焼酎など多様化の波に逆らえず、小さな手造りの酒蔵は経営が厳しく、20年前に西出酒造は経営者が他資本になり、10年前に北森酒造は廃業となりました。 粟津温泉の地酒が無くなるという大変寂しい出来事でした。
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若夫婦二人での 地酒蔵の再起と挑戦 そして春心の復活
西出酒造の蔵元杜氏、西出裕恒さんは大正二年から続く酒蔵が他人の手に渡る二十年前の父の言葉 「またいつか、一緒に春心をつくろうな」 という約束を守りたい気持ちで19歳から酒の世界に丁稚として入り、「現代の名工」として知られる能登杜氏・農口尚彦氏の薫陶を受けました。
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名工の知識だけでなく“常に頭で先読みしながら考え体を動かす”“理屈を考えて酒を作る”など、蔵人としての姿勢も叩き込まれ小さな酒蔵の蔵元杜氏になれるよう必死に勉強し、蔵の再起を夢見ておりました。 実直なその姿に奥様も協力して夫婦酒蔵に入り、少量から父との約束『春心』を復活させました。 人手に渡っていた酒蔵を地元の応援により買い戻し、創業当時の社名「西出酒造」に。伝統の『春心』の復活となりましたが、酒造を買い戻す前年に父は他界。約束は果たせませんでしたが、粟津温泉にとってはうれしい復活となりました。
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小さな蔵元だからこその 個性が光る『春心』
蔵は、大正二年からの建物。今季の仕込みは60石という本当に自分たち家族だけで作る小さな小さな手造の蔵『西出酒造』。 原料は、すべて地元石川県産の原料を使用。 昔ながらの製法で醸し出す、素材と環境が生きる昔ながらの本物の地酒です。粟津温泉の自然と酵母菌と麹と西出杜氏だからのお酒です。ふくらみや滑らかさは酒米で、甘さは麹の仕事。香リと酸味は酵母で表現する。今年の酒は甘みを抑え旨味、コメの味をしっかりだしたとの事です。 華美に走らず昔ながらの実直なお酒。のとやの懐石にも決して押し出しが強すぎず相性抜群です。 小さな蔵だからこその一本一本の大切さが伝わります。
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地元の食材と合う 粟津温泉『春心』
「味わいに“波”があるお酒」
甘み・酸味・辛味・さまざまな風味で口に含んだ時に余韻まで波のような抑揚を付けたい。 西出酒造蔵元西出杜氏の思いです。
粟津温泉は、霊峰白山の火山の影響で温泉が湧き出て、白山の伏流水に恵まれ加賀野菜などの山の幸に大変恵まれ、また日本海にも近く、カニ・甘エビ・のど黒・鯛など様々な食材に恵まれております。だからこそ、その地の酒は奥深い味わいとふくらみ深みがあります。 同じ水。同じ土壌。同じ風土の豊富な食材と一緒に。のとやに宿泊しましたらぜひ、『春心』をゆっくりたしなんで下さいませ。
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